白磁の壷に花を生けようと水をそそぐと、
なんとも心地好い水音をたてて水が入っていきました。
静かな中に微かに響くその水音を耳に、
溜まっていく水を眺めながら何かハッとさせたれた感じがしたのです。
嵯峨御流では、水の入っていない器に花を生けること(空いけ)を禁じます。
当然のことですが、花を生ける前に必ずすることが、この水をそそぐという動作。
満々と湛えた水の中に花を生ける。花を生かす。とても大切なことだと思うのです。
そんな器に生けたのはバナナの実。
オンシジュウムと鉄線をあしらって、南国を想わせる文人華にしてみました。
將甫